Delicious Tohoku Package Design Competition

おいしい東北パッケージデザイン展/出展作品

PACKAGE
2018

事の始まりは8月頭。案件が落ち着きネットサーフィンをしている時だった。おそらくfacebookの誰かのリンクからコンペ募集のリンクをみつけたのだと思う。「おいしい東北パッケージデザイン展」の募集をしているとのことだった。私は、こういったコンペには参加したことがなくなんの賞もとったことがない。その時、頭の中から声が聞こえた「賞が欲しいか…?」。私は、迷うことなく申し込みのメールを打ち、参加の意思を伝えていた。今回のコンペは通常のデザイン展の様に仕様書に沿ってデザインを提出して終わりではなく、参加デザイナーはクライアントの元へヒアリングへ行き現場を見る普通の案件と同じ進め方。最終的に参加デザイナーの私を含めた3人が天秤にかけられるのである。これは負けられないと気合だけが私の100mくらいを先走っていったのを覚えている。まずはクライアントの所へ行く前に参加デザイナーの特徴を調べた。2人とも過去に「おいしい東北パッケージデザイン展」で受賞歴のある凄腕。過去作品も目を通すとどれも詰められている。「見なかったことにしよう」そう思うしかできる事はなかった。そんなこんなでヒアリングも終わり実際のデザインに入る。この案件は相当困った。何しろ一発勝負、方向性をクライアントと探りながらデザインを絞っていく進め方が私のやり方なので、ストライクど真ん中が分からなくて迷走をし続けた。そんな中、商品名も合わせて提案することになっていたので移動中もふとした時間も商品名の事を考え続けた。何かユニークなのがいいかな、コンペで際立つ為には…練り羊羹…、練り…ねりねり…ねった、「ねりにねった ねり羊羹」…。これだ…、なんか面白いし。これはキタんじゃないかとワクワクしたのを覚えている。そう、この文章を読んでいる聡明な方々ならお気づきだろう。ここが今回のミス。コンペで際立つ事考え、商品が今後長く続くための普遍性や、クライアントの方向性を見落としていたのだった。最初の商品名がブレているのでデザインに落としてもなんだかなぁな感じになるのだ。デザインは20世紀少年の神様が言っていたボーリングの話に似ている。ボールをレールに放つ時に角度が2,3度違うだけでピンのところまでいくとえらい方向違いになってしまう。最初が肝心、コンセプトというか軸というか。クライアントに提案するならC案ってところか。そこに気づかずこれは目立つんじゃないかという淡い期待を持ちながらデザインをまとめ上げいざプレゼンに。プレゼンの舞台は杜の都仙台。会場は会議室でプロジェクターを使ってプレゼンをする。プレゼン会場はやけに人が多く、まるでエヴァに登場するゼーレのモノリスに会議するような雰囲気だった。ガチガチになっていてよく覚えていないのだが帰りにテーブルにあった飲んでいないペットボトルのお茶だけはしっかり持って帰ったのを覚えている。結果は後日連絡がくるのだが、ねりにねった私のデザイン案は杜の都で静かに散っていた。
結果はどうであれ今後の仕事に役に立ついい経験だったと思っている。常にバージョンアップしていかなければこの仕事を続けてはいけないしお客様の為にはならない。私のジャバウォックは目覚めなかったが死んではいない。

AD,D Hikaru Sato(MOJI)

https://thk-package-design2018.jp/